東京で最高においしいトナカイのステーキを食べたかったら、もう探す必要はありません。吉祥寺の「アルトゴット」なら上質の伝統的な食材を軽いモダンな料理法で調理したレベルの高いスウェーデン料理を提供しています。おまけに、ロケーションが都心から離れているため、これだけの品質の料理からは考えられないお手ごろ価格です。
才能ある若いシェフ矢口さんは吉祥寺駅南側の人気レストラン「ガムラスタン」のシェフを務めていましたが、「ガムラスタン」のオーナーが2003年に長野県に転居してから、この東急百貨店の裏通りに自分の店「アルトゴット」をオープンしました。2階のダイニングルームは広々と風通しがよく、気取らないインテリアがここちよい空間になっています。バックには60年代のイージーリスニングや軽いジャズが流れています。サービスもてきぱきと迅速です。
料理メニューには北欧の魚介類を中心に海の幸、山の幸をふんだんに使った典型的な北欧料理がそろっています。冷菜はボイル甘エビで始まります。これはディルとレモンだけのシンプルな味付けが甘エビの新鮮なおいしさを引き出しています。冷製アボカドサラダは、中身をくり貫いたアボカドに、角切りのエビとハーブがふんだんに入った北欧のグアカモーレといった感じですが、とても手が込んでいます。
よく知られたスウェーデン風ミートボール(温菜セクション)もつい欲しくなる一品ですが、この店のミートボールはとても美味です。この品もハーブの香りがしみ込んで、キノコのたっぷり入った濃厚なグレービーソースが添えられています。さらに、きりっと甘酸っぱいコケモモジャムの小皿がついて、味のコントラストを出しています。おいしい前菜に気分も盛り上がってきたところで、つぎはトナカイのステーキです。2枚のフィレステーキ(2人で分けてちょうどいい大きさ)にこくのあるダークチェリー・ソースと非常にクリーミーなマッシュポテトが添えられ、かりっと焼いたハスのスライスで仕上がっています。グルメ好みのクセがあり、非常にやわらかいステーキ肉は、周りが軽く焦げ、中がジューシーに焼き上がっています。
その他のアラカルト料理には、鹿肉、鶏肉、魚料理(スモークサーモンほか)、北欧チーズなどがあります。決めるのが苦手な方には、コースディナーが3500円から、ランチが1500円から3500円まで用意されています。デザートも種類豊富ですが、アルトゴット風チョコレートケーキはとくにおすすめです。しっとりとしていながら、くどすぎることはなく、ウォッカのひとふりが効いています。上にはチョコレートの層が乗せられ、ホイップクリームとチェリーが添えられています。
ワインの種類はさほど豊富ではありませんが、実用向きで、価格も3000円から6000円と魅力的です。私たちはこの店のほとんどどんな料理にも合うおいしいリオハ(3600円)を見つけました。食事を北欧風に締めくくるには、きりっと冷えたウォッカと3種類のアクアヴィット(オールボーが気に入りました)があります。
[吉祥寺駅から東急百貨店を過ぎて左折、大正通りを250メートルほど歩いて右手にあります]
by Robb Satterwhite