ここ10年間、黒船亭は栄養たっぷりの和風西洋料理「洋食」を提供しています。洋食は明治時代に日本人シェフが西洋料理を日本人の口に合うようにアレンジしたのが始まりで、代表的なものに現在では伝統的な料理になったオムライス(戦後、大量のアメリカ製品が流入したため、ケチャップを贅沢に使っている)などがあります。
黒船亭のオムライスは、マッシュルームの入ったピラフの上にほんの少し固まりかけたくらいの柔らかいふっくらした卵焼きがのっています。カニクリームコロッケはさくっとして脂っこさがなく、中には、ベルモット風味のクリーミーなベースに甘味のあるカニの身がたっぷり入っています。
でも、この店の自慢料理は、なんといっても、ハヤシライスです。ビーフを濃いデミグラスソースの中で蒸し煮にし、ライスの上にかけ、ほんの少量のクリームをかけたもので、味を引き立てるお新香が付いてきます。安物のハヤシライスはケチャップを使って濃度と甘味を出しますが、この店では違います。1週間以上をかけてデミグラスソースを煮込んで、濃いチョコレート色と濃厚な風味を出しています。どんな時間帯に行っても、客の半分くらいがおいしそうにハヤシライスを食べている光景が見られます。800円を追加すると、柔らかい和牛を贅沢に使った特製ハヤシライスもあります。
それだけではありません。黒船亭では、シーフードカレー、ハンバーグステーキ、ロールキャベツなど、食欲をそそる料理をいろいろ揃えています。なかなか決まらない人には、ほとんどの料理を半量、または一皿に数品目を組み合わせて注文することができます。一皿の分量は多く、注文したB弁当(カボチャのポタージュ、カニコロッケ、ハンバーグステーキ・マッシュルームソース、ミニオムライス、赤ワイン風味の牛タン)の最後には食べる気力も衰えてくるほどでした。
週末のとくに夕食時には、二人連れや家族連れでいつも込み合っています。ご予約をおすすめしますが、予約できなかった時は、狭苦しい入り口で待つ覚悟をして行った方がいいでしょう。もし待ちきれなかったら、ハヤシソースやカツサンドはテイクアウトできます。
(不忍通りと中央通りの角、マクドナルドの上階、入り口は不忍通り側)