六本木ヒルズの影にあるこのこぢんまりしたシックなカフェテリアは、シンガポールで大人気の料理、ハイナンチキンライスに魅了されたオーナーが開いた店です。この料理には香りがよく、風味が濃厚なジャスミンライスが使われており、ドアを開けると同時に店内に充満しているこの香りに圧倒されます。
各テーブル上のペーパーマットには、店の代表料理ハイナンチキンライスのレシピや食べ方が詳しく書かれています。ハイナンチキンライスはフォークのサイドで切れるほど柔らかく茹でた大ぶりのチキン、ハーブの香りがしみ込んだ大盛りのジャスミンライス(お替わりは無料)、コショウの利いたシンプルなチキンスープ、ぱりっとした漬物のセットになっています。ソースは濃口醤油、生姜ダレ、甘めのタイ風チリソースの3種類が付いてきます。
この料理は、ソース(1種類でも混ぜても良い)を一口サイズに切ったチキンにかけ、ライスと一緒にスプーンにのせて、ほおばって食べます。チキンスープは合間にどうぞ。シンガポールでこの店がどう評価されるかはわかりませんが(あの街ではチリソースにはしらけるかも)、東京ではジャスミンライスだけでも行ってみる価値があります。
ランチはチキンライスともう一種類の料理だけですが、ディナーメニューには東南アジア各地のカレーやスパイシーな煮込み料理がそろっています。メニューには小さなコショウマークが3段階に付いていて、辛さ加減がわかるようになっています。シンガポール風シーフードの炒め料理を数品ためしてみましたが、ソースはガーリックが利いていておいしいのに海老はうまみに欠けていてがっかりしました。それに比べてはるかにおいしかったのはラクサレマックです。これはマレーシアの人気料理で、細いヌードルにもやし、油揚げ、ハマグリ、ゆで卵などが入って、こくのあるスパイシーでクリーミーなスープ仕立てになっています。
店のインテリアは、ダークな色調の木製のテーブルと椅子、タイルのフロアと化粧しっくいの白壁という、シンプルでいごこちのよい空間になっています。(ランチタイムには、おしゃれな黒っぽい服装の女性たちが多く、インテリアとぴったりマッチしていました。)ドリンクメニューには、(なぜか)フランスワイン、ヱビスとギネスの生ビール(こちらの方が料理によく合う)があります。スタッフはめったにみられないほどフレンドリーで熱心です。チキンライスはテイクアウトもできます。
(六本木ヒルズの南端にある24時間営業のスーパー「フードマガジン」の向かい。)
by Robb Satterwhite