「えん」は20店あまりの店舗を展開している居酒屋チェーンで、こだわりの創作料理と凝ったインテリアで、リーズナブルな値段以上に楽しめるお店です。その「えん」が最近、丸の内オアゾ(そして汐留シティセンターにも1店)に「和食えん」という高級姉妹店をオープンしました。サービスは居酒屋スタイルで、焼酎、ビール、日本酒などのドリンク類と肴がメインですが、目を見張るようなおしゃれなインテリアと美しい盛りつけは、普通の居酒屋のはるか上を行っています。
オアゾは東京駅の赤レンガビルと線路の向こうに珍しい眺めを見渡せるビルで、「えん」はこのロケーションを最大限に活用しています。大きめの掘り炬燵ダイニングエリアには、片側に床から天井までの窓、向かい側には障子がはめられています。個室では丸ビル方面の景色を一望できます。
入り口付近には広いメインダイニングエリアがあり、大きくてくつろぎ感のあるカウンターといくつかのテーブル席が用意されています。席数は全部合わせると200以上あります。美しい図柄の欄間やふすま、なめらかに磨きこまれた白木のテーブルやカウンター、彫刻の一部のようにさえ見える磨き抜かれた金属製柱など、どこもかしこも上質の素材と職人芸が光っています。器も素敵で、グラス類は丸みのある飲み口、手にぴったりとおさまる美しいフォルムで、しかも軽量です。皿、鉢、漆盆、菜箸など、どれも上質のものを使っています。
料理はシンプルな季節の品が控えめな値段でそろっています。一皿の分量は少なめで、いろいろな料理を試してみることができます。鶏の石焼きは炙り加減も完璧で、ニンニク醤油、味噌、山椒塩が添えられています。ナスとアスパラガスの冷製は、深みのある燻製の香りと少量の酢が風味を100パーセント引き出していて衝撃的です。生鮭ハラスの炙り焼きはカリッとした皮と脂の乗った身が完璧な組み合わせです。このほかにも、魚や肉の炙り焼き、豆腐、湯葉料理などたくさんあります。
日本酒は知名度の高いものと珍しいものがうまく組み合わされて13種類(熱燗は1種類)、焼酎も13種類が用意されています。ワインもよく厳選されており、値段の割においしいオーストラリアの赤ワインやクラウディ・ベイ・ソーヴィニョン・ブラン(6400円)などの確実な白ワインがあります。グラスやカラフェで注文できるワインは4種類、樽生のヱビスビールも楽しめます。予算は、料理とドリンクで、一人平均4500円から6500円くらいです。ランチもあります。
by Scott Cooper