浜松町界隈はわりと地味な地域だと感じていましたが、名酒センターへ行ってみて、その印象はさらに強くなりました。モノレール駅近くの静かな裏通りにあるこの店は、これ以上は不可能というほど気取りのない店です。正面のガラス窓には、日本酒の銘柄名が書かれた張り紙がびっしりと貼られ、実用本位に設計された店内には煌々と明かりがついて、2つの大きな立ち飲み用カウンターが場所を占めています。近所のサラリーマンが仕事帰りの一杯に立ち寄る店です。
何十軒もあるほかの下町酒屋と名酒センターの違うところは、その日本酒の品ぞろえの豊富さと質の高さ、そしていつでも利き酒のできる銘柄の豊富さです。ここでは50を超える蔵元を取り扱っていますが、その多くは無名の零細地酒メーカーで、上品な純米吟醸酒150余種を常備しています。どれを注文したらよいか迷ってしまいますが、行き当たりばったりに決める必要はありません。どんなタイプの日本酒が好きか店員さんに言えば、好みに合いそうな酒を選んでくれます。
まず初めは、単純に「辛口」か「甘口」のどちらが好きかをいうだけでも構いませんが、もっと特定すると、好みにぴったりの日本酒に出会えるでしょう。利き酒はわずか500円で小さなグラス3つに好みの酒を注いでくれ、注ぎ終わった瓶はそのまま置いておいてくれるので、銘柄をじっくりと吟味することができます。試してみた3銘柄のうち、どれが一番気に入ったかを店員さんに告げ、利き酒を繰り返すうちに、自分にとって最高に美味しいお酒を見つけることができます。どのお酒も酒屋同様に購入して持ち帰ることができます。
つまみメニューは拍子抜けするほど少なく、漬物(100円)、薫製豆腐(200円)、せんべい(2袋50円)、塩辛(100円)などがあります。冷蔵庫から好きなものを取り出し、カウンター上の皿に代金を入れるようになっています。毎月1回、厳選された吟醸酒の利き酒会があり、料理は客が持ち寄ります!(参加費3,000円+参加者全員で分ける料理1品を持参。掲示板に申込書があります。)
名酒センターは、秋田屋のある通りを少し入ったところにあります。このいつもサラリーマンで込み合っている焼き鳥の有名店で串を数本賞味してから、ここで地酒をいろいろ試してみるのもひとつの手です。秋田屋の左の道を1分ほど行くと、左手に電飾看板と煙草をくわえた人たちの一団が見えます(店内での喫煙は禁止されています)。
by Robb Satterwhite