おでんはコンビニや屋台で食べるものというイメージが強いが、洗練された料理にもなりうる。西麻布のこんぶやは高級おでんの微妙な味わいを探求するには最高の店だろう。ここのおでんは30数種類のネタがあり、どれもインスピレーションに満ちている。価格帯は300円から500円くらい。日本酒もよく知られた人気銘柄から、珍しいものまで取り揃えられている。
おいしいおでんの決め手は出し汁だが、この店の昆布のきいた出し汁は、北海道の業者から特別に仕入れた昆布と鶏肉から作られている。もっとも単純な素材でさえ、入念な仕上げがされている。たとえば、はんぺんはふわふわして軽いが、引き締まっていて、決して淡泊ではない。大根は水気が多く、風味がある。つみれ各種はそれぞれ味わいがはっきりと異なり、きめが細かい。メニューの半分はおでん以外の季節料理で、これも試してみる価値が大いにある。水菜と蕎麦の実のサラダ(\1,000)、地鶏となすのあんかけ(\1,000)、山ウドとレンコンのきんぴら(\550)、カブとスモークドサーモンのサラダ(\1,000)などのオリジナルメニューがある。
店は大きなオープンキッチンと中央のカウンターのまわりを木と石とガラスのインテリアでまとめたお洒落でモダンなつくりになっている。外壁に沿って居心地のいい座敷があり、奥にはちょっと隠れてテーブルがある。ここには、ウエイトレスを呼ぶブザーが用意されている。各エリアはそれぞれに独自の雰囲気を醸し出している。店のスタッフはよく気が利き、日本酒や料理に詳しく、尋ねられればいつでも助言してくれる。どうしてもワインが欲しい人のために多少のワインが用意されており、独断的に4,000円、6,000円、8,000円、10,000円の値がつけられているが、ここの料理には日本酒が断然合っている。日本酒は17銘柄用意されており、そのほとんどは1杯800円から1,100円、焼酎も5銘柄揃えられている。
平均的な予算は、飲み物込みで5,000円から6,000円。予約したほうがよい。