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  • 「海の幸を正しく味わうために」
「海の幸を正しく味わうために」

昨年度末、2007年を表す漢字として選ばれたのは「偽」であった。相次いで発覚した有名メーカーによる食品偽装、賞味期限改ざん。食品に対して、これほど私たちが不信感を抱いたことはかつて無かったのではないだろうか。


そして、2008年度を迎えて、いきなり新聞紙上を賑わしたのが、大手製紙会社による再生紙偽装。日本の新年は、またしても「偽」からスタートしたのだった。この国に定着しつつある、「地球に優しい」というコンセプトは、実は商品を売るための惹句でしかないのか、それとも単なる一過性のトレンドなのか。

そんな折、英字新聞で大変興味深いフレーズを目にした。「Sustainable Fishing」、日本語に訳すと、「地球に優しい持続的な漁業」だろうか。食に対する健康志向、また寿司等の日本食が完全に根付いたこともあり、欧米の魚の消費量は年々増加してきている。記事によれば、今や世界最大の魚市場となったヨーロッパでは、魚の需要に対する供給が追いつかず、市場に入荷する魚の約50%が途上国からの輸入魚であり、また、その魚の多くが漁獲限度量を無視して不法に漁獲された「密輸魚」であるらしい。更には、海洋資源に破壊的な影響を与える漁法が用いられている場合もあるという。

アメリカ、カナダの研究チームは、このまま乱獲が進めば2048年には世界中の海から魚が絶滅するというショッキングなレポートも発表している。この状況に懸念を抱き、持続的な漁業で漁獲されたことを、海洋環境保護団体が認定した魚のみを扱うスーパーマーケットやファーストフードのチェーン店も欧米では徐々に増えつつあるらしい。

それでは、1人あたりの魚の年間消費量が世界最大の日本の状況はどうなっているのだろうか。私たちが頻繁に通う回転寿司店やファミレスの水産物は然るべき漁業で漁獲されたものなのだろうか。それとも、日本人は、「水と安全はタダ」のように、魚のストックも無尽蔵だと考えている向きが多いのだろうか。そんな不安を払拭してくれそうなのが、昨年12月に設立されたばかりの認定制度、「マリン・エコラベル・ジャパン(通称MELジャパン)」だ。(詳細は、社団法人 大日本水産会のHP、http://www.suisankai.or.jp/より閲読可能)

資源と海に優しい持続的な漁業を促進する目的から設立されたこの制度では、今後持続的な漁業で漁獲された水産物であることを証明する「MELジャパン」ラベルを貼って、消費者に持続的な漁業をアピールしていく予定だ。現在、MELジャパン事務局は、本年度3月からの認証受付を目指して、実際に認証を行う審査機関、および申請者への助言や代行業務を行う業種別団体等を募集中である。

審査基準は、2005年にFAO(国際連合食料農業機関)が採択したエコラベルのガイドラインに沿ったものとなり、広く国際社会に受け入れられる制度として成立させるべく準備が進められている。今後、MELジャパンの認定ラベルを受けた素材を扱っていることをメニューに掲げるレストランが現れるのもそう遠くはないことかもしれない。また、最近何かと話題になるレストランガイドでも味、内装、接客に加えて、「素材のエコロジー度」が評価の対象とされる時代が間もなくやってくるのではないだろうか。

岡部 光


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